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引用元: http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1415360870/

関連記事→キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」二冊目①

 

85: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)16:48:24 ID:sQOP4p0t2
赤鬼「真紅草か・・・」

キモオタ「真紅草とは一体なんですかなwww」コポォ

金髪の娘「村で聞いた、染色に使える植物。鮮やかな真紅色を出せるって」

赤鬼「しかし、真紅草はもう少し奥まで行かないと生えていないぞ?娘っ子が取りに行くにはなぁ・・・どうしても必要なのか?」

金髪の娘「必要だから取りに来た。このあたりで糸を真っ赤に染色できるのは真紅草だけだと聞いたから」

ティンカーベル「糸?赤い糸が欲しいの?」

キモオタ「縫い物でもするんですかなwwwしかし糸の色なんて何でもいいのではwww」

金髪の娘「そう言うわけにはいかない。糸なら何でもいいというわけじゃない。ただの縫い物ではないから」

86: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)16:56:58 ID:sQOP4p0t2
赤鬼「どうしても諦めないって言うんだな・・・」

金髪の娘「諦めることは出来ない。諦めたら私はここでタヒんでしまう」

キモオタ「ファッ!?」

ティンカーベル「なんだか特別な事情があるみたいだね」

金髪の娘「今の私は、例えるならあなたの羽が引っこ抜かれているのと同じ状況よ、ティンカーベル」

ティンカーベル「ちょ、縁起でも無いこと言うのやめてよ!」

キモオタ「・・・・・・むむっ?」

赤鬼「タヒぬなんて言うもんじゃねぇ!どんな事情か知らんが、どうしても必要ならオイラが付いていく。それでいいか?」

金髪の娘「鬼なのに人間の手助けをするのね?」

赤鬼「関係ねぇや、娘っ子は困ってる奴がいても相手が人間じゃなきゃほっておくのか?」

金髪の娘「どうかしらね。でも手伝ってくれるなら助かるわ」

87: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)17:08:47 ID:sQOP4p0t2
赤鬼「じゃあ決まりだ・・・ってよく見たら傷だらけじゃねぇか。あぶねぇからオイラの肩に乗っかってな」ヒョイ

金髪の娘「・・・子供扱いしないで、これなら自分で歩いていく」キッ

赤鬼「娘っ子の足じゃ夜中になっちまうぞ?熊や狼も出てくるんだ、食われちまうぞ?」

金髪の娘「・・・・・・我慢する。早くいきましょう」

赤鬼「よし、じゃあキモオタとティンク。ちょっと寄り道するが付き合ってくれるか?」

ティンク「いいよ、なんか訳ありみたいだしね!」

キモオタ「赤鬼殿www我輩も肩に乗せて頂きたいのですがwww」

赤鬼「すまん、流石に2人乗せてだともしもの時に危ないからな。ここは頑張って歩いてくれ、今までの倍険しい山道だがなんとかならぁ」

キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www妖精の粉をかけて頂きたいのですがwww」チラッ

ティンカーベル「慣れてないのに逆に危ないよ、いい運動だと思って頑張ろう!」

キモオタ「これはwww筋肉痛待ったなしwww」コポォ

88: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)17:21:15 ID:sQOP4p0t2
山道

ガサガサッ ガサガサッ

ティンカーベル「金髪の女の子ってこのあたりじゃ珍しいけど、旅してるの?」

金髪の娘「旅、という表現でいいのかしら。でも旅だと思ってもらっても差し支えは無いわね」

赤鬼「まだ子供なのに一人で旅してるのか、だから口調とかしっかりしてるんだな。しかし、親御さんも心配だろうなぁ」

金髪の娘「・・・・・・」

ティンカーベル「ねぇねぇ!大事そうに持ってる長いのは何?布が巻いてあるけど」

赤鬼「がっはっは、ティンクは初対面なのにグイグイいくなぁ」ガッハッハ

金髪の娘「・・・内緒よ」

ティンカーベル「えーっ!教えてよ教えてよ!」ケラケラ



キモオタ「ゼェーハァーゼェーハァー」

90: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)17:42:01 ID:sQOP4p0t2
金髪の娘「そうね、だったらこれが何か教える代わりにあなたに妖精の粉を少し分けてくれる?」

ティンカーベル「妖精の粉?いいけど、何で知ってるの?」

赤鬼「妖精の粉?なんだそれは?」

金髪の娘「妖精が飛ぶときにその羽から零れ落ちる鱗粉。魔法の力を秘めていて、妖精を信じる者に一時的ではあるけれど飛行能力を。素材としては空間移動系や速度変化の魔法具に用いられる」

赤鬼「たまげたなぁ、妖精ってのは不思議な力をもっているもんだなー・・・そのマホウグってのは何なんだ?」

金髪の娘「この世界の言い方をするなら、神通力が宿った道具かしらね。あなた達鬼の種族に伝わる『隠れ蓑』や『打ち出の小槌』のようなものよ」

赤鬼「あぁ、なるほどなぁ。不思議な力がある道具ってことだな」

ティンカーベル「・・・なんでそんなに詳しいの?私にことも、鬼のことも」

金髪の娘「何故かしらね。それよりあなたが知りたいのはこっちの物でしょう?」ヒョイ

ティンカーベル「・・・・・・」

91: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)17:56:25 ID:sQOP4p0t2
ティンカーベル「あなた、何者なの・・・?どこから来たの?」

金髪の娘「どこから来たのか言っても、今のあなたには解らないと思うけど。何者かという質問が呼び名を聞いているなら、今は『金髪ちゃん』とでも呼んでくれたらいいわ」

ティンカーベル「・・・・・・何でこの世界に来たの?」キッ

赤鬼「おいおい、喧嘩するんじゃないぞ?ほら、キモオタも止めてくれ」



赤鬼「あれ?キモオタはどこだ?」

キモオタ「」グッタリ

ティンカーベル「あっ!キモオタが倒れてる!」

キモオタ「これしんどいでござる・・・我輩、もう歩けませんぞ・・・」

ティンカーベル「もぉー、だらしないなぁ!」ピュー

グルルルッ

赤鬼「このうなり声っ・・・!キモオタ!あぶねぇ!」

ガサッ

熊「グルルッ」

92: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)18:14:47 ID:sQOP4p0t2
熊「グルルッ」フシュー

キモオタ「ぶひいいいぃぃ!我輩食べるところ無いですぞおおお!!!」ダッ

赤鬼「駄目だ!走るな!追いかけてくるぞ!」ダッ

熊「ウガアアァ!」

キモオタ「あわわ・・・おはなしウォッチで助けを!裸王殿!シンデレラ殿!しかしいきなり呼んでも・・・!ど、どうするでござるかぁ!」ワタワタ

ティンカーベル「ダメっ!間に合わない!」

ズダーン ズダーン

熊「グ、グガァ・・・・・・」ドスーン

キモオタ「ひいいいいぃぃ!タヒぬかとおもいましたぞおおおぉぉ!」

赤鬼「眉間と心臓に一発・・・!」

ガシャッ

金髪の娘「ティンカーベル。これがあなたが気にしていた長物の正体よ。約束通り妖精の粉、貰うから」ガシャッ

ティンカーベル「ものすごい射撃の腕前・・・本当に何者なんだろう・・・」

93: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)18:31:20 ID:sQOP4p0t2
裏山 最深部

赤鬼「さぁ着いたぞ!そのあたりにあるのが真紅草だ」

金髪の娘「縫い糸一巻染めるならどれくらい必要?」

赤鬼「そうだなあ、ざっとこんなもんかな。しかし染色はどうするんだ?なんならオイラがやってやろうか?」ガサガサッ

金髪の娘「意外と器用なのね。お願いするわ」

赤鬼「ただし数日はかかるぞ?」

金髪の娘「構わないわ」

キモオタ「赤鬼殿!あの木の実食べられるでござるかなwww」

赤鬼「おぉ、今いく!」ドスドスドス

ティンカーベル「・・・金髪ちゃん。ちょっと話したい、いい?」

金髪の娘「・・・いいわよ、赤鬼も行ったみたいだし」



金髪の娘「別のおとぎ話の住人同士、お互い聞きたいこともあるものね?」

94: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)18:47:05 ID:sQOP4p0t2
キモオタ「ふぅwww赤鬼殿には別の場所で果物採ってくると言い訳しておきましたぞwww」

金髪の娘「あら、彼も一緒なの?」

ティンカーベル「私の友達。一緒に旅をしてるの、おとぎ話の事情も知ってる」

キモオタ「金髪殿は何故かティンカーベル殿の事を知っているようでしたしなwww他のおとぎ話の住人ではないかと思っておりましたぞwww」

金髪の娘「そう。じゃあティンカーベル、あなた達の目的は?何故ここにいるのか教えて」

ティンカーベル「知ってるかもしれないけど、ピーターパンのおはなしは消滅しちゃってる。だから私はピーターパンのおはなしを復活させるために旅をしてるの」

金髪の娘「ここには打ち出の小槌でも探しにきたの?」

ティンカーベル「ううん、このおとぎ話が消えそうな臭いがしたから消えないように助けにきたんだよ」

金髪の娘「へぇ・・・そんなこともしてるのね」

キモオタ「話に腰を折りますがwww時に打ち出の小槌とは一体www」

金髪の娘「打ち出の小槌。鬼が持っているという魔法具・・・神通力の宿った道具よ」

97: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)19:01:07 ID:sQOP4p0t2
金髪の娘「どんな願いも叶える能力を持つ魔法具よ。体を大きくしたり、財宝を出したりね」

キモオタ「ティンカーベル殿!それがあれば【ピーターパン】のおはなしを復活させられるのではwww」

ティンカーベル「金髪ちゃん!それ詳しく教えて!」

金髪の娘「残念だけどもう手には入らないわよ。打ち出の小槌は【一寸法師】の世界の宝物。でもそのお話は消滅している、恐らく打ち出の小槌もね」

ティンカーベル「残念・・・私が知らないところでも知らないお話が消えていってるんだね」

キモオタ「やはり魔法のランプに望みを託すしかありませんなwww」コポォ

金髪の娘「知らなかったと言うことは、この世界に来たのは本当にこのおはなしを救う為なのね」

ティンカーベル「だからそうだって!だって他のおはなしまで消えちゃったら私みたいなつらい思いをする人が増えちゃうし、それは嫌だもん」

金髪の娘「・・・・・・嘘では無いようね」ボソッ

金髪の娘「さっきあなたは私に聞いたわね。どこから来たのか、何者なのか、なぜここにいるのか・・・教えてあげるわ、ティンカーベル。そしてキモオタ」



金髪の娘「私もあなたと同じ、この世界を救いに来た」

98: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)19:10:12 ID:sQOP4p0t2
ティンカーベル「この世界を救いに・・・?でも、金髪ちゃんはおとぎ話の世界の住人なんでしょ?」

金髪の娘「一応、主人公をやっていたわ」

キモオタ「しかし主人公ならばなおさら自分のおとぎ話を不在にしていていいのですかなwww」

ティンカーベル「もしかして、金髪ちゃんも私と同じ?」

金髪の娘「そうね。私のおとぎ話も消滅している」

キモオタ「なんですと!ということは金髪殿もおとぎ話の復活を願って?」

金髪の娘「・・・いいえ、私はそれは望んでいない。元の世界は居心地もよくて大好きな人もたくさんいたけれど、それもみんなタヒんでしまった」

ティンカーベル「・・・・・・」

金髪の娘「だからせめて他のおとぎ話には同じ末路を辿って欲しくない。だから私は元の世界で手に入れたおとぎ話の世界を行き来する魔法具とこのマスケットを手に取って、旅をしているの」

ティンカーベル「ねぇ、消えちゃってるなら聞いてもわかんないかもだけど、なんていうお話?あなたの本当の名前は?」

金髪の娘「名前、ね・・・なんだったかしら・・・」

99: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)19:23:27 ID:sQOP4p0t2
金髪の娘「真紅草を探している。そう言ったわよね、ティンカーベルの妖精の粉が欲しいとも言った」

キモオタ「糸、と言っておりましたなwww手に入らないとここでタヒぬとwww」

ティンカーベル「金髪ちゃん・・・ううん、あなたは魔法具でおとぎ話の世界を行き来してるんだね?でも、それが使えなくなっちゃった。だから私の羽と例えたんだね」

キモオタ「なるほどwwwここから移動できなくなればここでタヒんでしまうことになりますからなwww」

金髪の娘「ティンカーベルの言うとおりよ。真紅草も妖精の粉も、私がおとぎ話の世界を行き来するのに必要な魔法具の修繕に必要なの」ゴソゴソ

金髪の娘「これよ」

キモオタ「これは上等そうな真っ赤な布ですなwww洋服でござるか?www」

金髪の娘「ハズレよ。ここに移動してきたときに引っ掛けて、裂けてしまったの。魔法の力の込められた赤い糸で縫いつけないと、使えない」

ティンカーベル「それって・・・なに?」

金髪の娘「ずきんよ、真っ赤なずきん。お婆ちゃんに貰った大切なずきん・・・お気に入りでずっと身につけてた。だから私は元の世界では・・・・・・」





金髪の娘「『赤ずきんちゃん』と呼ばれていたわ」

100: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)19:33:30 ID:sQOP4p0t2
赤ずきん「本当の名前なんて忘れてしまったけど、皆が呼んでくれるそれこそが私の名前だった」

赤ずきん「もう、みんなにそう呼ばれることは無いけれどね」

ティンカーベル「・・・ごめん、私は赤ずきんがこの世界に何か手を加えようとしている悪い人かもって思っちゃった」シュン

赤ずきん「お互い様よ。私もあなた達がこの世界の消滅の一因かもしれないと思っていたしね」

キモオタ「おとぎ話の消滅を影で操っている黒幕がいるかもしれませんからなwww疑ってしまうのは仕方ないwww」

赤ずきん「黒幕?なにそれ?おとぎ話は現実世界の人間に忘れられると消えるんじゃないの?」

ティンカーベル「まだ可能性の段階っていうか・・・もしかしたらだけど、何かの手段で誰かが天啓を見せておとぎ話に異変を与えているんじゃないかって私達は考えてるんだ」

赤ずきん「詳しく教えてくれる?」

101: 開けた名無しさん 2014/11/09(日)19:42:31 ID:sQOP4p0t2
・・・

赤ずきん「なるほどね・・・【裸の王様】や【王様の耳はロバの耳】でおかしな行動を起こした人は決まって天啓を見ていると、そういうことね」

ティンカーベル「うん、偶然かもしれないけどね」

キモオタ「もしや赤ずきん殿の世界の異変もこの天啓では?」

赤ずきん「どうかしらね・・・あの狼、知性はあるみたいだったから可能性はありそうだけど・・・」

ティンカーベル「狼?狼が原因なの?」

キモオタ「そういえば我々赤ずきん殿の世界のおはなし知りませんなwww」

赤ずきん「そうね、もしも黒幕がいるのなら解決のための情報は多い方がいい。いいわ、話してあげる。私のおとぎ話【赤ずきん】がどんなおはなしなのか。そして・・・・・・」



赤ずきん「【赤ずきん】のおはなしがどうやって消滅したかをね」

124: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)20:34:13 ID:R3EUNKpgS
少しだけ昔 とある国の小さな町

母親「赤ずきんー?ちょっとおいでー」

赤ずきん「はーい!なぁに?ママー」

母親「今日は赤ずきんにおつかいをお願いしちゃいます!どこにいくかわかるかなー?」フフッ

赤ずきん「おつかい!私ね、わかるよ!おばあちゃんのところでしょ!いつもおつかいはおばあちゃんのおうちへのお届け物だもん!」

母親「正解!じゃあこのバスケットにパンと葡萄酒、それと小さなつつみも入れておくからおばあちゃんにちゃんと届けてね?」

赤ずきん「はーい!ちゃんと届けるよ!任せて!」

母親「うん!いい返事!ごほうびに今日の夕飯は赤ずきんの大好物のシチューにするからあまり遅くならないうちに帰ってくるように!」

赤ずきん「本当!?わーい!赤ずきん、ママのこと大好きー!」

母親「あらあら、そんなこと言うとパパがっがりしちゃうぞー」フフッ

赤ずきん「パパも大好き!おばあちゃんも大好きー!赤ずきん、みんなのこと大好きー!」ニコニコ

125: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)20:43:14 ID:R3EUNKpgS
・・・

キモオタ「ちょっといいですかなwww」

赤ずきん「なにかしら?なにか気になることでも?」

キモオタ「赤ずきん殿キャラ違いすぎませんかなwwwこの愛らしい娘が熊を撃ち殺した娘と同一人物には見えませんなwww」ドゥフコポォ

赤ずきん「・・・・・・話を進めていい?」

ティンカーベル「キモオタ!どうでもいいことで話の腰を折らないで!」プンプン

キモオタ「申し訳ないwwwどうにも気になったものでwww」コポォ

ティンカーベル「ごめんね、赤ずきん!続けて!」

赤ずきん「・・・・・・私はある町に住んでいた。両親との三人家族。ごく普通の一般家庭だったわ。それと町のはずれにある森の中におばあちゃんが住んでいたわ。私はよく届け物のおつかいを頼まれていた」

・・・

赤ずきん「ママー!いってきまーす!」

母親「はーい!寄り道しないようにねー!」

126: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)20:56:14 ID:R3EUNKpgS
町外れの森 おばあちゃんの家

赤ずきん「到着ー!おばあちゃん!赤ずきんだよー!おつかいにきたよ!」コンコン

おばあちゃんの声「おや、赤ずきんかい。鍵は開いているから中にお入り」

ガチャッ

赤ずきん「おばあちゃん!」ムギュー

おばあちゃん「おやおや、赤ずきんはいつまでたっても甘えん坊さんだねぇ」ニコニコ

赤ずきん「赤ずきん、おばあちゃん大好きだもん!今日もねーひとりでおつかいにきたよ!これ!ママからのお届け物!」ズイッ

おばあちゃん「おやおや、帰ったらママにお礼を言っておいてねぇ。赤ずきんや、クッキーがあるよ。食べるかい?」

赤ずきん「食べる!それとね!また今日もたくさん外国のおとぎ話教えて!おばあちゃん、他の人が知らないお話たくさん教えてくれるから大好きー!」

おばあちゃん「おやおや、じゃあ今日は遠く離れた島国にお話をしようかねぇ・・・・・・」

赤ずきん「やったぁ!なんていうお話?」ワクワク

おばあちゃん「一寸法師というお話だよ。じゃあクッキーと紅茶の準備をしてお話をはじめようかねぇ」

赤ずきん「はーい!赤ずきんも手伝う!」

127: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)21:03:43 ID:R3EUNKpgS
・・・

おばあちゃん「・・・・・・でしたとさ。めでたしめでたし」

赤ずきん「めでたし!めでたし!面白かった!今日もたくさんお話覚えたよ!」

おばあちゃん「一寸法師、かぐや姫、舌切り雀・・・今日はみっつも覚えたねぇ赤ずきんや」ナデナデ

赤ずきん「うん!もういーっぱい教えてもらったから100くらいお話できるよ!」フンス

おばあちゃん「おやおや、赤ずきんは賢いねぇ」ナデナデ

赤ずきん「本当!?赤ずきん賢い?」

おばあちゃん「賢いねぇ、もっともっとお話しを覚えないとねぇ」

赤ずきん「? うん、わかった!」

ドンドン

狩人の声「ご婦人!狩人だ、はいってもいいかい?」

128: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)21:12:55 ID:R3EUNKpgS
おばあちゃん「どうぞ、鍵は開いてるからお入り」

狩人「邪魔するよ、おっ!赤ずきんちゃん!今日もおつかいかい?」

赤ずきん「こんにちわ狩人さん!今日もおみやげある?」

狩人「おうよ!赤ずきんちゃんがくる頃だと思ってな!ほら!シメたばっかりのウサギだ、母ちゃんにうまく料理して貰いな!」

赤ずきん「わーい!ありがとう!」

おばあちゃん「じゃあそろそろお帰り、あまり遅くなると危ないからねぇ」

赤ずきん「はぁい、もうちょっとお話ししたいけどなぁ、赤ずきん」

おばあちゃん「おやおや、大丈夫だよ、いつでも遊びにおいで。でも今日は遅くならないうちにお帰り、おばあちゃんとの約束だよ」

赤ずきん「うん、わかった!また来るね!おばあちゃん!狩人さん!」

おばあちゃん「気をつけてねぇ」

狩人「寄り道すんじゃねぇぞー!」

・・・

おばあちゃん「帰ったね。すまないね狩人さん、あれを取りに来たんだろう?」

狩人「もう出来てるかい?」

おばあちゃん「あぁもちろんさ、もう時間がないからねぇ・・・」

131: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)21:24:20 ID:R3EUNKpgS
おばあちゃん「狼を一撃で倒す銀の魔弾。あまり数は作れなかった、すまないけれどこれで何とかしておくれ」

狩人「大丈夫さ、雑魚はご婦人に精製して貰ったマスケットで蹴散らす。大物にだけ銀の魔弾が使えれば十分だよ」

おばあちゃん「他の者には言えないからねぇ、私と狩人さんでなんとかするしかないねぇ」

狩人「しかし、今でも信じられない。この【赤ずきん】のおとぎ話に消滅が近づいているなんてな」

おばあちゃん「残念だが確実だ。それも時間がない、今回ばかりは自分の予知能力が恨めしいよ」

狩人「まぁそうおっしゃらず、ご婦人の魔力のおかげで消滅を事前に察知し、こうやって対策も立てられるんだ。うまくすれば消滅を回避することだってできるさ」

おばあちゃん「だといいんだけどねぇ・・・」

132: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)21:40:08 ID:R3EUNKpgS
狩人「しかしおとぎ話の消滅ってのは現実世界の人間に忘れられると起きるもんだが・・・そこが腑に落ちない」

おばあちゃん「そうだねぇ、【赤ずきん】のおとぎ話は現実世界でも有名な部類に入っているはず何だがねぇ・・・」

狩人「にも関わらず、ご婦人はこのおとぎ話の消滅を予知夢で知ったということだったな」

おばあちゃん「そうだよ、私の予知夢じゃあもう一ヶ月もしないうちに狼がこの周辺にやってくる。それも元の話のように一匹じゃあない。両指でも利かない、20か30か・・・大規模な群をなして襲ってくる」

狩人「町の自警団がどれだけ機能するかだな・・・本当のことはいえないから、町には盗賊が近隣地域で暴れていると誤報は流した。多少は警備を強めてくれるだろうが」

おばあちゃん「もうあとはできるだけにことをするしかないね・・・」

狩人「あの娘には・・・?」

おばあちゃん「言えるわけないだろう。だけどもし、私か狩人さん、赤ずきんの誰かがやられればこのおとぎ話は消えるだろう。そうなったとき一番生きていてほしいのはあの娘だ」

133: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)21:49:53 ID:R3EUNKpgS
おばあちゃん「もしもの時のためにあの子には他のおとぎ話を教えてあるもう大方教えられたはずだ。それとあのずきんには魔法がかけてある」

狩人「魔法?いったいどんな?」

おばあちゃん「私がタヒんだら効力がでるようにしてある。深くかぶれば別のおとぎ話へと移動できる魔法さ。魔女だろうとなんだろうとやっぱり孫は可愛いもんだ、あの子には生きていてほしい」

狩人「たとえこの世界が消滅してもあの子は生きていけるってことか、優しいおばあちゃんですね、ご婦人・・・いや魔女殿」

おばあちゃん「よしとくれよ。私は孫娘の命の危機にさえ満足な助けがしてやれない、ただの老婆だよ」

狩人「そう悲観なされるな、私も出来ることはします。もちろん、赤ずきんちゃんだって護ってみせる」

おばあちゃん「そうだねぇ、とにかくここが踏ん張りどころだねぇ」

狩人「ええ、なんとしても消滅を食い止めましょう」

134: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)22:02:06 ID:R3EUNKpgS
同時刻 某所

狼「グルルゥ!まて!お前、食ってやるぞ!俺様の周りをうろちょろしやがって!」

???「無理だよ、君は僕を食べることができない。何故なら狼は空を飛べないからだ」

狼「畜生!降りてきやがれ!俺様は、腹が減ってるんだ!」

???「だろうねぇ、ここ数日君を見ていたけど全然獲物捕まえられてないじゃないか、一匹狼なんかやめて群をなしたらどうだい?」

狼「やかましい!群れると食える量が減るだろうが!」

???「馬鹿だな君は、やっぱり僕一人で十分だったよ」

狼「はぁ?なにいって・・・・・・」

???「君にお腹いっぱいになる作戦を教えてあげるよ」

狼「なにぃ?そんなもん信じられるか!お前のようなよそ者の言葉!」

???「そう言うと思ったよ。でも、自分で見たものなら信じられるかい?」

狼「はぁ?まぁ、そりゃあお前・・・この目で見たもんならなぁ・・・・・・」

???「じゃあ見せてあげるよ・・・・・・『君含む狼が群をなして町中の人間を食い頃す』そんな天啓を、ね」シュッ

ポワァ

狼「お、うおおぉ、おおお!?」

135: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)22:10:47 ID:R3EUNKpgS
数日後

母親「・・・・・・うーん」

赤ずきん「ママー?どうしたの?」

母親「実はね、おばあちゃんにお届けものをお願いしようと思ったんだけど」

赤ずきん「おつかい!いくいく!赤ずきん頑張るよ!」

母親「でもねぇ、昨日の夜中に近くで狼の鳴き声を聞いたって人がたくさんいるの。もしかしたら近くに狼がいるかもしれないし、ちょっと頼めないなぁ・・・」

赤ずきん「狼?こわいの?」

母親「そりゃあこわいよー?赤ずきんなんかガブーッって食べられちゃうんだから!」ガブー

赤ずきん「本当!?それは怖い・・・でもおばあちゃんのとこ行きたいなぁ・・・」

母親「うーん、ママには他の用事があるし・・・昼間なら平気かなぁ・・・」

赤ずきん「きっと平気!赤ずきん泣かないから、おつかいいく!」

136: 開けた名無しさん 2014/11/11(火)22:18:22 ID:R3EUNKpgS
母親「まだお昼前だし、きっと少しは人通りもあるよね・・・じゃあ赤ずきんにおつかいをお願いします!でもママと約束すること!」

赤ずきん「やったぁ!おつかい!でも約束ってなぁに?」

母親「今日は特に絶対に寄り道しないこと!それと今日はいつもより早く帰ってくること!もしもどうしても遅くなりそうだったら狩人さんと一緒に帰ってくること!約束できる?」

赤ずきん「えっと、寄り道しない!早く帰る!遅くなるときは狩人さん!」

母親「うんうん、よろしい!じゃあバスケットに荷物入れておくからね」

赤ずきん「はーい!」

母親「うん、今日もいい返事だ!ご褒美に赤ずきんの大好物のハンバーグを作ってあげよう!だから早くかえっておいでね?」

赤ずきん「ハンバーグ!目玉焼き乗ってる!?」

母親「乗ってるよー!しかも今日はお花のかたちにしちゃう!」

赤ずきん「やったぁ!じゃあ赤ずきん、頑張っておつかいするね!」

母親「うん、じゃあよろしくね!約束、しっかり守るのよ?」

赤ずきん「うん!約束!」



赤ずきん「ママー!バイバーイ!いってきまーす!」

149: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)19:41:37 ID:BpB36lvb3
森の中の道

赤ずきん「いいお天気だなぁー」ワクワク

赤ずきん「でも狼がでるよって言われたし早くおばあちゃんのとこに行かなきゃ!」

パタパタパタッ

鳥「そこのお嬢さん!そんなに急いでどこに行くんだい?」

赤ずきん「鳥さんこんにちわ、森の奥のおばあちゃんの家までおつかいにいくの」

鳥「そうなんだ、だったらその先に道を右に曲がるといい。すてきなお花がたくさん咲いているよ」

赤ずきん「でも、狼がでるから寄り道しちゃいけないっていわれてるから・・・・・・」

鳥「少しなら大丈夫さ、おばあちゃんもお花は好きだろう?」

赤ずきん「うん、おばあちゃんお花好きだよ!摘んでいったら喜んでくれるかな?」

鳥「もちろん!たくさん誉めてくれるよ!」

151: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)19:48:42 ID:BpB36lvb3
赤ずきん「そっかぁ・・・・・・でも・・・・・・うー・・・・・・」

鳥「君が花畑に行ったことは誰にも言わないよ!それなら君のママにだってわかりやしないさ」

赤ずきん「お花摘みにいっても怒られない?」

鳥「大丈夫さ!怒られやしないさ、むしろおばあちゃんを喜ばせてあげたんだ、誉められるよ!」

赤ずきん「本当!?赤ずきん、誉められる?」

鳥「そうとも!僕が嘘をつく悪い鳥に見えるかい?」

赤ずきん「見えない!赤ずきん、お花摘みしてから行く!」

鳥「それがいい!気をつけていくんだよ」

赤ずきん「はーい!鳥さんバイバーイ!」フリフリ



鳥「・・・さぁ、時間稼ぎはこれでいいかな。あとはあの方にお願いしますかね」

152: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)19:59:02 ID:BpB36lvb3
森の奥、赤ずきんのおばあちゃんの家

コオオォォォ

おばあちゃん「・・・・・・これでよし、と」

おばあちゃん(昨晩の狼の鳴き声・・・いやな予感がするねぇ。とりあえず狙われるのは私と狩人さんと赤ずきん)

おばあちゃん(狩人さんはともかく、赤ずきんが心配だ。家が壊されないように結界は張ったけど・・・町へ行ってみようかね)

ドンドン

おばあちゃん(・・・・・・おや?)

おばあちゃん「おやおや、誰だい?」

赤ずきん「おばあちゃん、赤ずきんだよ!おつかいにきたよ」

おばあちゃん(・・・・・・確かに赤ずきんの声だ、しかし・・・)

おばあちゃん「・・・・・・すまないが窓の方にきてくれるかい?赤ずきん」

赤ずきん「もぉ、どうしたのおばあちゃん?ほら!赤ずきんだよ!」ニコニコ

おばあちゃん「すまないね、赤ずきん。いますぐ鍵を開けるから玄関へおいで」

おばあちゃん(私の気にしすぎだったようだね・・・)

153: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)20:05:56 ID:BpB36lvb3
ガチャッ

赤ずきん「おばあちゃん!赤ずきん、おつかいに来たよ!」

おばあちゃん「おやおや、大丈夫だったかい?悪い狼がいるかもしれないよ?」

赤ずきん「大丈夫だったよ!どうして今日は鍵が空いてなかったの?赤ずきん困っちゃった!」

おばあちゃん「すまないねぇ、今お茶を入れようねぇ」

赤ずきん「鍵閉めてたのって、狼さんが来ないようにだよね?」

おばあちゃん「そうだよ赤ずきんや、お家を壊されちゃうかも知れないからねぇ」

赤ずきん「でもね、おばあちゃん!せっかくお家に結界を貼っても」

グルルッ

おばあちゃん「・・・・・・っ!」

ザシュッ!

赤ずきん?「その狼を家の中に入れちまったら意味が無ぇぜ、おばあちゃん」グルルッ

154: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)20:22:10 ID:BpB36lvb3
おばあちゃん「狼が赤ずきんに化けていたなんてねぇ・・・誰の差し金だい・・・?」

狼「気がつくのが遅かったなぁ。なぁ?本当にこのばぁさんを先に頃す必要があったのか?」

???「ええ、彼女はこう見えて強い魔力を持っています。後に回せば君たち狼の邪魔になる。今頃、本物の赤ずきんは私の友達にそそのかされて花でも摘んでいるよ」

おばあちゃん「あんたのその姿・・・!別のおとぎ話からやってきたようだが、何のためにきたんだい!どうやって狼に変化の能力を与えた!」

???「目的?それはあなた達の為。それとひとつ勘違いをしているね、私は狼に変化の能力を与えてなんかいない。私には魔力は使えないから。でも魔法具を使えば簡単。あなたに幻覚を見せる事くらい、こうやって・・・・・・」

シュッ ポワァ



???「マッチを一本擦ればいいだけなんだから」



おばあちゃん「・・・・・・っ!」

狼「何をしたんだ?ばぁさん、急に黙っちまったぜ?」

???「今頃、赤ずきんと楽しくお話ししている幻覚をみているよ。苦しまないうちに食べてやってはどうかな?」

狼「へっ、もう俺たちの邪魔は出来ねぇんだろ?だったらもっと若い肉を食いに町に行くぜ」グルルッ

???「どちらにしても狼の爪にやられているんだ、長くはないか・・・」

155: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)20:30:46 ID:BpB36lvb3
十数分後

赤ずきん「ふんふんふーん♪おばあちゃん喜んでくれるかなー」

赤ずきん「・・・あれ?おばあちゃんの家の玄関が開いてる、いつもちゃんと閉めてるのに・・・」

ヒョイ

赤ずきん「おばあちゃん?赤ずきんだよ、開けっ放しで・・・」

おばあちゃん「おや、赤ずきん・・・無事かい・・・?」グッタリ

赤ずきん「おばあちゃん!」ダッ

赤ずきん「どうしたの?なんで傷だらけなの?たくさん血が出てる、お医者さんに行こう!もしかしてママがいってた狼が来たの!?」オロオロ

おばあちゃん「いいかい、落ち着いてよく聞くんだよ赤ずきん・・・」

おばあちゃん「不甲斐ないおばあちゃんですまないねぇ、でももうこのお話は助からない」

赤ずきん「お話?助からないってなぁに?どういうこと、おばあちゃん!」

157: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)20:40:40 ID:BpB36lvb3
おばあちゃん「この世界はね【赤ずきん】というおとぎ話の世界なんだ。本当は悪い狼に私と赤ずきんが食べられたところを狩人さんが助けてくれる筋書きだったが、このおとぎ話には異変が起きてしまった」

おばあちゃん「おとぎ話は現実世界の人間に忘れられると異変が起きる。そして物語の重要人物がタヒねばその物語は消滅する。このお話はもうじき消えてなくなるだろう・・・」

赤ずきん「赤ずきん、わかんないよ!そんなお話しなくてもいいから早くお医者さんにいこうよ!」

おばあちゃん「いいから聞くんだよ赤ずきん、おばあちゃんはもう助からない」

赤ずきん「・・・!」

おばあちゃん「いいかい、そのずきんには魔法がかけてある。深くかぶって行きたい世界を口にするんだよ。たくさん教えてあげたお話があるだろう?明確な名前でなくたっていい、行きたいお話を口にすればいいんだ」

赤ずきん「このずきんに魔法がかかってるの・・・?」

おばあちゃん「そうだよ、異変をただせば元に戻るがこの世界はもうだめだ。別の世界に赤ずきんだけでも逃げるんだ」

158: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)20:46:56 ID:BpB36lvb3
赤ずきん「やだ!おばあちゃんも!おばあちゃんも一緒に行く!」

おばあちゃん「赤ずきんや、おばあちゃんを困らせないでおくれ・・・」

バターン!!

狩人「ご婦人!赤ずきん!」ハァハァ

赤ずきん「狩人さん!お願い!おばあちゃん大怪我してるの!助けてあげて!」

おばあちゃん「狩人さんや、すまない・・・このおとぎ話はもう、消える」

狩人「・・・っ」ギリッ

赤ずきん「なんで黙っちゃうの!お願いだよ狩人さん!」

おばあちゃん「赤ずきんを頼んだよ・・・」

狩人「赤ずきん。おばあちゃんに聞いたな?そのずきんでほかの世界へ逃げるんだ・・・俺は少しでも多くの狼を道連れにする!」バターン

159: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)20:50:58 ID:BpB36lvb3
赤ずきん「おばあちゃん・・・?」

ゴゴゴゴ

赤ずきん「うえええん!おばあちゃん!!」グスングスン

ゴゴゴゴ

赤ずきん「ひっくひっく・・・・・・」グスングスン

ゴゴゴゴ

赤ずきん「お外の景色が・・・ぼろぼろになっていく・・・」

赤ずきん「お空も、お花も・・・」

ゴゴゴゴ

赤ずきん「ママ・・・パパ・・・」

赤ずきん「いかなきゃ、お家にいかなきゃ!ダッ」

160: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)21:00:32 ID:BpB36lvb3
赤ずきんの住む町

ワオーン グルルッ ワオーン

赤ずきん「町が燃えてる・・・!」

ゴゴゴゴ

赤ずきん「いない・・・!お隣のお姉ちゃんも・・・パン屋のおじさんも・・・!」

赤ずきん「パパもママも!いない・・・!」

狼「おっとぉ、もうガキは喰っちまったとおもったがまぁだ残ってたか、結構喰っちまったがガキの肉は別腹だなぁ」

赤ずきん「・・・!」

狼「チッ、歯になんか挟まっちまっててうっとうしいぜ、折角のご馳走だってのによ・・・っと」ホジホジ

赤ずきん「・・・・・・それ、ママのエプロン・・・!」

狼「あ?あぁ、さっき喰ったのお前の母ちゃんだったかもな」ゲラゲラ

赤ずきん「・・・!」

ズダーン

狼「ゲブォ!」ヨロッ ドシーン



狩人「赤ずきん!どうして戻ってきた!」

161: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)21:08:23 ID:BpB36lvb3
赤ずきん「あの、赤ずきん・・・ママとパパに・・・」

狩人「・・・・・・」

赤ずきん「・・・・・・」

狩人「俺は嘘が苦手だ。だから正直に言う。赤ずきん、お前の両親は狼に喰われた、二人だけじゃねぇ。俺がきたときにはもう・・・狼に群にあらかたやられた後だった」

赤ずきん「・・・・・・」

狩人「涙ももはやでねぇか・・・仕方ないか、あまりに酷ぎる」

赤ずきん「・・・・・・」

狩人「いいか、お前はずきんの能力で別のおとぎ話へ逃げるんだ。つらいかもしれない、寂しいかもしれないが・・・」

狩人「お前のおばあちゃんはそれを望んでいた。つらい思いをしても苦しい経験をしても、それでもお前に生きて欲しかったんだ」

赤ずきん「・・・・・・おばあちゃん」

狼「おーい!ガキと男がまだ残ってるぞー!」

狩人「クッ!」

162: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)21:17:26 ID:BpB36lvb3
狩人「持っていけ!」ビュン

赤ずきん「・・・・・・マスケット、こんなの使えないよ」

狩人「それには弾丸が自動でリロードされる魔法が込められている、売れば高値が付くはずだ」

赤ずきん「・・・・・・狩人さん」

狩人「早く行け!素手じゃあまり時間稼ぎ出来ない」

赤ずきん「・・・!」ダッ

狩人「強く生きろ。今は無理でも、いつかお前の力で悲しみを振り払え!」

赤ずきん「おばあちゃん、狩人さん、パパ、ママ・・・・・・私、頑張る・・・」

赤ずきん「頑張って・・・もう誰も泣かなくていいようにする!」

ギュッ

赤ずきん「ずきんよ、ずきん。私のずきん、お願い・・・」

赤ずきん「私を・・・別のおとぎ話に連れて行ってっ!」

ビュン

166: 開けた名無しさん 2014/11/13(木)21:30:39 ID:BpB36lvb3
・・・

ティンカーベル「・・・・・・」グスングスン

キモオタ「・・・・・・」

赤ずきん「そこから別のおとぎ話を転々とした。カエルと一緒に感じの悪いお姫様を相手にしたり。旅人と一緒にただの石ころをスープが作れる石だって嘘付いたり。村人と一緒に藁を交換して屋敷を手に入れたりもしたわね。いろいろなお話を廻ったわ」

赤ずきん「結局マスケットは売らずにそのまま武器にして、消滅しそうなおとぎ話に飛んでいっては救いながら旅してきた」

赤ずきん「最初は寂しかったし辛いときもあったけど、だんだんおとぎ話を救う事にもなれて、いつしかもう私のおとぎ話みたいな悲劇を繰り返したくないっていう強い思いも持てるようになった」

赤ずきん「私の話はこれで終わりよ」

キモオタ「辛い思いをしましたな・・・」

ティンカーベル「そうだよ・・・グスングスン」

赤ずきん「よしてよ、哀れまれるような人生じゃないもの。それにティンカーベルも同じような経験なんじゃない?」

ティンカーベル「まぁ、うん、でも・・・」

赤ずきん「とにかく、私は決めたのよ」



赤ずきん「おとぎ話の消滅は私が防ぐ。黒幕が居ようと居まいとね」

184: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)14:17:45 ID:vOEeeHlr7
あんま関係ないけど、pimp my gunで赤ずきんちゃんのマスケット作ってみた(クオリティはお察し)

no title

やっぱり、マスケット銃ってかっこいいよね
しかも、魔法で装填されるとか胸熱



187: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)21:04:14 ID:xsxFeNCNU
赤ずきんが救ったおとぎ話は
蛙の王子様
石のスープ
わらしべ長者
です。

石のスープ おとぎ話 でググれば出てくるはず
空腹の旅人が食事を手に入れるために一芝居打つおとぎ話です

188: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)21:13:50 ID:xsxFeNCNU
キモオタ「とにかくwwwこれではっきりしましたなwww」

ティンカーベル「そうだね!私達と赤ずきんはおとぎ話の消滅を防ぎたい仲間同士!そうだよね!」

赤ずきん「お互い、できる限りの協力はしましょう。でも、私もあなた達もいつ消滅に巻き込まれてもおかしくない。あまり馴れ合うのは・・・・・・」

キモオタ「んんwwwクールな物言いですなwww赤ずきん殿www」

赤ずきん「・・・・・・そうは言うけど、馴れ合い過ぎれば別れが辛くなるだけよ」

キモオタ「その時はその時でござるよwww別れを恐れて避けるなど過ぎた心配ですぞwww」

ティンカーベル「そうだよ!私は赤ずきんが嫌がっても仲良くするからね!」フンス

キモオタ「ちょwwwそれはどうなんでござるかwww」

赤ずきん「・・・・・・そうかもね」フゥ

赤鬼「おーい!お前らー!なんでお前らだけで楽しそうにしてるんだよ!」

ティンカーベル「あ、赤鬼!」

赤鬼「オイラも交ぜろよー!おまえ等だけ楽しそうでズルいぞ!」

189: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)21:19:09 ID:xsxFeNCNU
・・・

赤鬼「さて!果物も山菜も採れた!キモオタと赤ずきんのおかげで熊肉も採れたし帰るとするかー」

赤ずきん「キモオタは襲われていただけだと思うけど」

キモオタ「そう言わずにwww熊肉なんて初めて食べますぞwww」

赤鬼「思ったより時間がかかったからな。早く帰って青鬼を待つとするか!」

ティンカーベル「そういえばさ」

キモオタ「どうしましたかなwwwティンカーベル殿www」

ティンカーベル「お友達の青鬼ってどんな鬼?」

赤ずきん「私も興味があるわね」

赤鬼「そうだなぁ、じゃあ帰りながら話すとしようか」

191: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)21:27:05 ID:xsxFeNCNU
山道

赤鬼「青鬼はオイラの同郷の鬼でなー、物心が付いたときから一緒にいたなぁ」

キモオタ「幼なじみという奴ですなwww女子ならばフラグが立っていたかも知れないですなwww」

赤鬼「いや、青鬼は男だぞ。でもどっちかというと活発に動くほうじゃねぇなぁ。でもそのぶん頭が良くてなんでも知っていたな」

赤ずきん「あなたは野山を駈ける方が得意そうだけど、仲は良かったのね」

赤鬼「おうよ、故郷でも頭を使うのは青鬼、実践するのはオイラってコンビでいろいろやったなぁ」

ティンカーベル「そもそも、なんで赤鬼はここにひとりで暮らしてるの?」

赤鬼「それはなぁー、なんつうか・・・・・・」


赤鬼「人間と友達になりたかったからだな」

192: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)21:38:57 ID:xsxFeNCNU
キモオタ「んんwwwそれってそんなに難しいことですかなwww」

ティンカーベル「だよね、わざわざ引っ越してこないとお友達出来ないなんてないよね?」

赤鬼「それがそうでもねぇんだよ」

赤ずきん「人間は鬼を恐れている。畏怖の対象と友達になろうとする人間はいないわ」

赤鬼「まぁ赤ずきんの言うとおりだなぁ、人間はオイラ達鬼を恐ろしい生き物だと決めてかかっている。それもそう簡単に払拭できるもんじゃねぇ」

ティンカーベル「そういえば村のおじさんも鬼は悪い奴だって決めつけてた!赤鬼はこんなにいい人なのに!」

赤ずきん「彼等は赤鬼がどんな鬼か知らない。なら一般的な鬼のイメージを持ってしまうのは仕方ない」

赤鬼「気持ちはわかるんだけどな。鬼ってのは大きな体に頑丈な皮膚。角と鋭い眼光。そして決まって悪さをする、村を壊したり人攫いをしたり、人間を食うと思っている奴もいる」

赤鬼「でもな、鬼も人間と同じなんだ。優しい奴も泣き虫な奴も、非力な奴も内気な奴も居る、そりゃあ悪い鬼だっているが、それが特別多いってわけじゃあない」

キモオタ「言ってしまえばwww人間にも悪人はいますからなwww」

193: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)21:51:35 ID:xsxFeNCNU
赤鬼「オイラはな、こう思うんだよ」

赤鬼「オイラ達鬼は力が強い、打たれ強いし頑丈だ。物を運ぶのも建物を作るのも得意だ。この腕は人間が思ってるような暴力を振るうもんじゃねぇんだ。そのかわり細かい作業が苦手など鬼は多い。」

赤鬼「人間は作物を計画立てて育てたり細かい刺繍の布を作ったり手先が特に器用だ。鳥は卵を生めるし、蜂は蜜を集める、猫は害獣を駆除できるし犬は留守を守れる」

赤鬼「恐れたり嫌ったりせずに、いろんな種族の生き物が助け合えばもっと世界はうまく回ると思うんだよな」

赤ずきん「見た目に反してロマンチストなのね」

キモオタ「なかなか難しいですがなwww」

赤鬼「だろうなぁ、でもやってみないことには始まらない」

赤鬼「だからオイラは故郷を出てこの村はずれに家を建てた。すぐには無理でもまずはオイラが人間と仲良くなる、そうすればこの夢も不可能じゃないだろう?」

キモオタ「努力家ですなwwwまぁ確かに言っていることはその通りですがなwww」

赤ずきん「それぞれの種族が長所を用いて、他種族に協力する。たったそれだけに事なんだ」

194: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:03:19 ID:xsxFeNCNU
赤ずきん「つまり赤鬼は種族の壁を超えて、お互いの為に協力すべきだ。と思っているのね」

赤鬼「固い言い方をしたらそうだが、単純にみんな仲良くしたほうがいいに決まってるだろ?そのほうが楽しいし、飯だってうまい」

キモオタ「理屈はわかるんですがなぁwwwいかんせん夢物語に見えてしまいますなwww」

ティンカーベル「うーん・・・・・・」

赤鬼「どうした、ティンク?」

ティンカーベル「そもそもだよ?」

ティンカーベル「鬼も人間も同じでいい人も悪い人も居る。悪い鬼が特別多いわけじゃないんだよね?じゃあなんで人間は鬼をこんなに恐れるのかな?」

赤ずきん「外見がいかにも武道派というのも理由じゃないかしら?背丈も大きいし肩幅もね」

キモオタ「なるほどwww外見が如何にもDQNな人はついつい避けてしまいますからなwww」

赤鬼「まぁ外見ってには理由としてはデカいが。人間が鬼を恐れているのは、きっとあれだな・・・・・・」

ティンカーベル「あれって?」



赤鬼「三人は『鬼神病』って知ってるか?」

195: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:16:48 ID:xsxFeNCNU
キモオタ「存じませんなwwwティンカーベル殿はwww」

ティンカーベル「初めて聞いたよ『きじんびょう』?」

赤ずきん「私も知らないわね」

赤鬼「鬼の神と書いて鬼神病。鬼のみが発症する特殊なる病だ」

赤鬼「正確には病というよりも祟りや呪術の類じゃないかと言われている。とても珍しい病気で発祥することは稀だが・・・・・・」

キモオタ「発症するとどうなるんですかなwww」

赤鬼「身体能力が飛躍的に上がる。体力も筋力もだ。そして発症時は体色が真っ黒になる。それと、一番恐ろしい症状だが・・・理性を失う」

赤ずきん「なるほどね、元々身体能力の高い鬼が更に強くなり、理性を失う。どうなるか予想がつくわね」

赤鬼「赤ずきんは察しがいいな。鬼神病に発症して理性を失った鬼は持て余した力を解放するためにただただ暴れ出す。それは普通の鬼で取り押さえるのも数人がかり必要な程だ」

赤鬼「鬼ですら持て余すその鬼神だ、人間にどうこうできるものじゃない。なす統べなく人間は被害を受けるのさ、理性を失った真っ黒で凶暴な鬼にな」

196: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:25:08 ID:xsxFeNCNU
キモオタ「トラウマものですな・・・話も通じないのでござろう?」

赤鬼「基本的に通じない。ただただ暴れるだけ。初期症状としては短い時間だけその鬼神状態になるが病状が進行すると鬼神状態から元に戻れなくなる。恐ろしい病だ」

ティンカーベル「たまたまその鬼神病の鬼に襲われた人のすごい恐怖が人間の恐怖心を煽ってるんだね」

赤鬼「そう思っている・・・・・・だけどな、これだけはわかってほしい」

赤鬼「多くの鬼は人間に悪さをしようなんて思っていないんだ」

キモオタ「んんwww鬼殿も我々と同じというわけですなwww」

ティンカーベル「そうだよね!見た目やウワサで判断しちゃだめ!」

赤ずきん「そうね。でもそれは私達じゃなく村人に伝えないとね」

赤鬼「そ、そうだがな・・・この前なんか豆をぶつけられたしな・・・」

197: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:31:05 ID:xsxFeNCNU
赤鬼の家

ティンカーベル「到着!」

キモオタ「疲れましたなwww甘いものが恋しいですなwww」コポォ

赤鬼「ちょうど熊肉もあるし、甘いの作っとくか?」

赤ずきん「・・・甘い熊肉って。なにそれ」

赤鬼「とりあえず、青鬼の歓迎会準備だ。すまんがキモオタとティンカーベルはとってきた果物をいくつか食べられるようにしておいてくれるか?俺は料理を作るから」

赤ずきん「私も手伝うけど?」

赤鬼「頼もう。その前に真紅草を煮出して染料を取っておこう」

赤ずきん「お願いするわ」

キモオタ「フルーツは我々に任せるですぞwww」

ティンカーベル「キモオタがつまみ食いしないようにみとくよ!」

キモオタ「んんwww人聞きの悪いwww」モグモグ

198: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:38:51 ID:xsxFeNCNU
・・・

・・



赤ずきん「染料も取れた。料理も出来た、で・・・青鬼は今日来るんじゃなかったの?」

キモオタ「完全に日が落ちましたがwww」

赤鬼「おかしいなぁ・・・約束を忘れるような奴じゃないんだが」

ティンカーベル「もう真っ暗だよ?急な用事ができて遅れてるんじゃないかな?」

赤鬼「何かあったか・・・まぁ青鬼のことだ、多少のトラブルはものともしないはずだ。今日は先にオイラ達で食事をして休もう」

赤ずきん「そうね。明日明後日と待って来なければ探しに行ってもいいわけだから」

キモオタ「とりあえず食べるでござるかwww」

ティンカーベル「もしかしたら遅くにくるかもだから全部食べちゃだめだよキモオタ!」

・・・

199: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:49:48 ID:xsxFeNCNU
その夜遅く 近くの村

ドガァ! バキバキバキッ

「逃げろ!逃げろ!鬼だ!鬼が出たぞ!」

「あの村はずれの赤鬼か!?」

「いんや、赤い鬼じゃねえ!見たことねぇ鬼だ・・・!」

ゴゴゴゴゴ

黒い鬼「・・・・・・グオオオオオオォォ!!」ブオン

メキメキッ

「い、家が腕の一振りで潰れちまった・・・!」

「おら達じゃ太刀打ちできねぇ!」

バキバキバキッ 

黒い鬼「・・・・・・グオオォォ・・・・・・ドコダ、オレノトモダチ・・・・・・」

「逃げろぉ!」

「女子供がさきだぁ!」

「畜生!何者だあの鬼は!」

黒い鬼「グオオォォ・・・アカ・・・オニ・・・!」

黒い鬼「・・・・・・オレノトモダチ・・・ドコダ・・・!」

バキバキバキッ

黒い鬼「グオオオオオオォォオ!!!!」

200: 開けた名無しさん 2014/11/15(土)22:50:19 ID:xsxFeNCNU
今日はここまでです

泣いた赤鬼編 次回に続きます

202: 開けた名無しさん 2014/11/16(日)00:52:42 ID:bHbOHdjV8
暴れ出す黒い鬼の正体はやっぱり…
続きが無茶苦茶楽しみだぜ!!

203: 開けた名無しさん 2014/11/16(日)02:32:54 ID:NGRmHh0x9
ここで切るのか
>>1は性格が悪い(ほめ言葉)