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引用元: http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1424001836/


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50: オプ速さん 2015/02/18(水)21:59:28 ID:QIE
カフェ

店員「いらっしゃいませ!三名様ですね?こちらのお席をご利用ください!」ニコニコ

雪の女王「赤鬼、悪いが窓際に座ってもらって構わないか?私は暑いのが苦手なんだ、こっちの日陰の席がいい」スッ

赤鬼「ああ、構わないぞ。じゃあ赤ずきんは…」

雪の女王「赤ずきんは私の隣に来るといい、キミとは是非じっくり話をしたいからな」フフッ

赤ずきん「いいえ…赤鬼の隣に座るわ」スッ

雪の女王「おやおや、嫌われてしまったかな?なんだったら私の膝に座ってもいいんだが?」フフッ

赤ずきん「あなたの膝なんかに座ったらおしりがしもやけになってしまうじゃない。お断りよ」プイッ

雪の女王「フフッ、それも可愛らしくていいじゃないか。まぁそう警戒しないでくれ。私は君達の味方だ、敵ではないんだ」クスクス

赤ずきん「それを判断するのはあなたじゃない、私達よ」

52: オプ速さん 2015/02/18(水)22:04:44 ID:QIE
赤鬼「まぁ話を聞こうじゃねぇか、疑うのはそれからでもいいだろう?それに襲うつもりならもうオイラ達は凍らさせてるはずだろ?雪の女王は大の大人を一瞬で凍り付かせるほどの能力を持ってるんだ」

赤ずきん「そうだけれど……」ジーッ

雪の女王「フフッ、まずは何か注文してしまおう。お姉さん、注文を頼むよ」

店員「はーい」ニコニコ

テッテッテー

店員「ご注文どうぞ!お伺いします」ニコニコ

雪の女王「私はアイスティーを。赤鬼はどうするんだ?」

赤鬼「西洋の飲み物はあまりわからないんだ、同じ物を貰おう」

雪の女王「ではそれを二つだ。この娘には一番甘いジュースを頼む。」

店員「裸王様公認のはちみつマッスルドリンクですね?」

雪の女王「ああ、それでいい」

赤ずきん「ねぇ…なんでもいいけれど、さっきから何度も私を子供扱いするのはいい加減にやめて頂戴」

53: オプ速さん 2015/02/18(水)22:10:05 ID:QIE
雪の女王「フフッ、キミはまだ子供だから子供扱いをしているんだ。それとも赤ずきんはもう子供じゃないというのか?」クスクス

赤ずきん「…ええ、少なくともあなたが思っているよりはね」

雪の女王「そうかい。それじゃあお姉さん、ジュースはキャンセルだ。代わりにアイスコーヒーを頼む」

店員「そのお嬢ちゃんにですか?シロップとミルクはどうしましょうか?」

雪の女王「必要ない、ブラックで貰おう。大人の赤ずきんならその方がいいだろう?」フフッ

赤ずきん「……ッ」

赤鬼「おい、コーヒーって苦い奴だろ?無理するな赤ずきん」ヒソヒソ

店員「お嬢ちゃん、どうする?苦いよ?本当にいい?」

赤ずきん「…ええ、アイスコーヒーで問題無いわ。それでお願い」キッ

雪の女王「フフッ…」クスクス

店員「はい、しばらくお待ちください!」ニコニコ

54: オプ速さん 2015/02/18(水)22:14:17 ID:QIE
店員「お待たせしましたー!ごゆっくりどうぞ!」ニコニコ

雪の女王「さて、飲みながらで構わないから聞いてくれ。まずは改めて自己紹介をしておこうか」

雪の女王「私はおとぎ話【雪の女王】の世界の住人、雪の女王だ。さっきも見ていたと思うが特技は氷結。氷結能力に特化している魔女と思ってもらって構わない。少々自画自賛になってしまうが、おとぎ話の世界でも屈指の魔力を有している」

赤鬼「ということは雪の女王はおとぎ話の主人公なのか?赤ずきんや桃太郎、シンデレラも主人公の名前がおとぎ話の題名になっているわけだしな」

赤ずきん「いいえ、雪の女王は主人公じゃない。むしろ主人公側からしたら彼女は敵役よ」

雪の女王「敵とは随分な言いようだがまぁそうなってしまうな、【雪の女王】の主人公はゲルダという女の子だ。物語の筋としては……ある日、性格をねじ曲げてしまう悪魔の鏡の破片が彼女の親友である少年カイに突き刺さってしまう。
以来、優しかったカイの性格は一変してしまい、カイは雪の日に何者かに連れ去られてしまう。そんな親友を救うためにゲルダが旅をする……と、このような内容だな」

赤鬼「誘拐された親友を助けに行く女の子のおとぎ話か……しかし、子供を誘拐するような悪人はどこにでも居るんだな。まったく、許せんな」

赤ずきん「……そうね、あなたの目の前にいる女がその犯人だもの」

赤鬼「ん……?」

雪の女王「フフッ、カイを連れ去ったのは私さ。ゲルダはカイを助けるために私の宮殿まで旅をすることになるんだ」クスクス

赤鬼「だったら雪の女王は悪人じゃねぇか…!いや、待てよ?さっきはオイラ達の味方だと言っていたが……?どういうことだ?」

赤ずきん「あら、忘れたの?おとぎ話における悪役が必ずしも悪人というわけではないというのは【一寸法師】の大鬼が証明してる。……雪の女王、あなたは何の目的があって自分のおとぎ話を離れているのかしら?」

55: オプ速さん 2015/02/18(水)22:19:23 ID:QIE
雪の女王「キミ達の目的と同じさ、おとぎ話を消滅させている黒幕……アリス達を止めるために私はここにいる」

赤鬼「ほう、黒幕がアリス達だってことももう知っているんだな」

雪の女王「ああ、おとぎ話の世界には大体一人はその世界がおとぎ話だと知っている人物がいる。だが、そういった連中の中にもまだ『何者かが意図的におとぎ話を消滅させている』事を知らない人物も多い……。
私はその事を警告して回っている。それと同時に有事の際に戦力となる協力者を捜すためにもね」

雪の女王「アリスのことはここに来る直前に寄った【桃太郎】の世界で桃太郎に聞いたよ。キミ達二人と【ピーターパン】のティンカーベル、現実世界のキモオタという男も同じ目的で動いているとね」

雪の女王「もうすでにいくつかのおとぎ話を消滅から救い出したと聞いたよ。だからキモオタとティンカーベル、赤鬼には引き続き消えそうなおとぎ話を救って欲しい。私も引き続き様々なおとぎ話を巡り、警戒と協力を呼びかける」

赤ずきん「目的はわかったけれど、何故あなたがそこまでするの?キモオタ達は消えてしまったティンクのおとぎ話を取り戻すことがきっかけ、私にも理由はある。あなたはどうなの?何故、おとぎ話の消滅を防ぐために率先して動いたのかしら?」

56: オプ速さん 2015/02/18(水)22:21:14 ID:QIE
雪の女王「前提として話すと私は子供が好きなんだ。無邪気で何をするかわからない、ワガママで好き放題するが…しかし子供というのはやはり可愛いものだ」

雪の女王「私のおとぎ話の主人公のゲルダがそうであるようにおとぎ話というのは子供が主人公であることが多いと思わないか?」

赤鬼「そう言われてみればそうかもな……」??

雪の女王「そうだろう?おとぎ話が消えると言うことは、罪のない子供達の命が無数に散るという事だ。それを防ぎたいと私は思っている、都合のいいことに私にはその思いを実行に移すだけの魔力があるからな」

赤ずきん「……随分真っ当な理由なのね」

雪の女王「キミは私をなんだと思っているのかな?」クスクス

雪の女王「さぁ、私が何故積極的に動くかは理解してくれたと思う。ではここからが本題なのだが……」



雪の女王「赤ずきん、キミにはここで旅を終えてもらいたい」

57: オプ速さん 2015/02/18(水)22:23:13 ID:QIE
赤ずきん「……ッ!?」

赤鬼「お、おいおい!ちょっと待ってくれ!」

雪の女王「ああ、もちろん赤鬼には引き続きおとぎ話の世界を旅して欲しい。私が得た協力者の中には鬼も何人かいる、彼らに話を聞いて戦いや旅の参考にするといい…それと」

赤ずきん「ちょっと待ちなさい!どういうことなのそれは!?」

雪の女王「そのままの意味だ、赤ずきん。キミはもう旅をやめるべきだ」

赤ずきん「……ッ!」

赤鬼「ちょ、ちょっと待ってくれ!赤ずきんに旅をやめてもらう!?どうしてそんな話になるんだ!」

雪の女王「当然だろう、赤ずきんはまだ子供なんだ。むしろ今までが異常だったのさ、おとぎ話の運命がかかったこの戦いは子供には危険すぎる。
それにその魔法のマスケットも自己流で未熟な腕の赤ずきんが使うよりもプロの猟師に使ってもらった方が効率的だろう?私の協力者に【かもとりごんべえ】の主人公がいる、少々軽率なところはあるが熟練の猟師である彼なら……」

赤ずきん「ふざけないで……!」バンッ

59: オプ速さん 2015/02/18(水)22:24:52 ID:QIE
雪の女王「……」

赤ずきん「このマスケットは猟師さんの形見なのよ?このずきんだっておばあちゃんが私のために残してくれたものよ、効率を求めるために誰かに渡したりするつもりはない!」ガターン

雪の女王「落ち着きなさい、赤ずきん。他の客の迷惑になる」

赤ずきん「そのふざけた提案を撤回しなさい、そうすれば私は落ち着くわよ」ワナワナ

雪の女王「キミは聡明な少女だと思っていたんだがな、よく考えてみたらどうだ?キミが戦う必要があるか?」

赤ずきん「どうしてもそのふざけた提案を下げるつもりはないのね?」

雪の女王「…言いたくはないが、私に言わせればふざけているのはキミの方だ、赤ずきん。もうすでにおとぎ話はいくつも消滅しているんだぞ?これはもう個人がどうこうできる問題じゃない、おとぎ話の世界全体の問題だ」

雪の女王「可哀想だが、子供であるキミの出る幕はない」

60: オプ速さん 2015/02/18(水)22:28:04 ID:QIE
赤ずきん「そうやってあなたは私を子供扱いして…!私だって戦える!今までだってそうやって来たんだから!」

雪の女王「理解できないなら何度だって言ってあげるさ、キミは子供なんだ赤ずきん。私はなにもキミを認めていないからだとか嫌いだから旅をやめろと言っているんじゃない。
今までとは違って協力者が居るんだ、戦ってくれる大人が居るんだからキミが危険なめにあう必要はないと言っているんだ」

赤ずきん「子供だから戦うのは危ない?だから大切なマスケットをあんたたちに渡して私は安全なところに隠れてろっていうの!?」

雪の女王「そうだ。しかし、キミは帰るおとぎ話を失っているんだったな、ならば私の宮殿で暮らすといい。もしも寒いのが苦手なら暖かいおとぎ話に済む場所を手配してあげよう」

赤ずきん「お断りよ。私はこの手でおとぎ話の消滅を防ぎ、必ずドロシーを倒すの」

雪の女王「何度も言わせないで欲しい、キミは旅をやめるべきだ」

赤ずきん「それはこちらのセリフよ、私を子供扱いしない事ね。旅を続行することに何ら問題ない」

雪の女王「…ひとつ教えてやろう、本当の大人は『子供扱いするな』なんて言わない、そんな事を口にするには背伸びしたい子供だけ」

雪の女王「それに大人は相手の言葉が頭にきてもキミのように声をあらげたりしないし、ましてや意地になって飲めもしないコーヒーを注文したりしない」

雪の女王「もうわかっているだろう?キミは本当は頭のいい子供だ。今まで一人で旅してきたキミは他人に舐められまいと必タヒになっていたんだろう?だから大人びた言葉も使うし冷静な風を装っている。
けれど実体は違うんだから隠しきることなんか出来ない、キミの挙動の端々に子供らしさが見え隠れしている」

雪の女王「それが戦いの場では命取りになる。もう一度言う、キミは旅をやめるべきだ」

61: オプ速さん 2015/02/18(水)22:31:46 ID:QIE
赤ずきん「…言葉を交わしてどうにもならないならもうやることは一つしかないわよ?」ガシャッ

赤鬼「待て、赤ずきん。雪の女王の言ってることは確かに正しい。あいつらもきっとさらに力を付けてるんだ、赤ずきんにとっては危険な旅になる」

赤ずきん「赤鬼……あなた……ッ!」キッ

赤鬼「だがなぁ、雪の女王。こいつは確かに子供だけどな、黒幕のアリスやドロシーを倒そうといろいろと考えて行動してんだ。マスケットの訓練だって毎日してるし、大切に手入れだってしてる。そりゃあ大人と比べれば力不足なところは多いだろうけどなぁ」

赤ずきん「……」

赤鬼「雪の女王の言ってることは正しい、赤ずきんの安全を考えれば当然だ。オイラ達の味方だって言う言葉に偽りはないんだろう、でもな…こいつを子供っていうくくりじゃなく、一人の人間としてみてやってくれねぇか?」

赤鬼「赤ずきんが無茶をするようならオイラが止める、手助けが必要ならオイラが助ける。それでももうどうにもダメだと判断されたら俺も一緒に旅はやめる。そういう約束で、こいつのことを認めてやってくれないか?」

雪の女王「……赤鬼、それがキミの足枷になったとしても赤ずきんの思いを尊重するとキミは言いたいんだな?」

赤鬼「ああ、大きなくくりで判断されて個人を見もしない…そういう世間の目にはオイラも嫌と言うほど晒されてきたからな、子供だからって覚悟や信念を認めて貰えないこいつの気持ちは分かる」

雪の女王「……やれやれ、赤ずきんは随分とやっかいな友人を持ったようだな」

赤ずきん「……私の友達をやっかいだなんて言わないで頂戴」

雪の女王「……わかったよ、赤鬼。そこまで言うなら今まで通り二人で旅を続けるといい」

62: オプ速さん 2015/02/18(水)22:34:00 ID:QIE
雪の女王「だがな、赤ずきん。私はキミを心配して言ったということを忘れないようにな。
敵は相手が子供だからって手加減する訳じゃない。もしもキミが赤鬼の手に負えないようだったり、敵の力があまりに強大だったら私はキミを力づくで止める」

赤ずきん「……ええ、わかったわ。約束しましょう」

赤鬼「オイラも出来る限りの事はするからな!」

雪の女王「それとここまで意地を通した以上…私は戦いにおいてキミを子供扱いしない。子供だから大目に見て貰えるとか甘い考えは持つんじゃない、わかっているな?」

赤ずきん「もちろんよ、甘えるつもりなんて端から無いもの」

雪の女王「フフッ、それは頼もしい限りだ。だが、キミを子供扱いしないとは言っても私はキミが大人だとも認めない。だからひとつ私と賭けをしようじゃないか」

赤ずきん「賭け…?」

雪の女王「旅が終わるまでで構わない、キミはもう子供じゃないと私に認めさせたらキミの勝ちだ。もしも最後までやはりキミは子供だなと私が思うなら私の勝ち。どうだい?」

赤ずきん「…あら?そんな賭けをしてもいいのかしら?私の勝ちが確定しているけれど」クスクス

雪の女王「それはどうだろうね、少なくとも現状では私の方が有利に見えるが?」フフッ

63: オプ速さん 2015/02/18(水)22:37:21 ID:QIE
赤ずきん「いいわよ、賭けましょう。私が負けたら私を凍りづけにしてあなたの宮殿のエントランスにでも飾ると良いわ」フフッ

雪の女王「ああ、それは楽しみだ。帰ったら早速台座を作っておくよ」フフッ

赤ずきん「…そろそろ裸王との約束の時間ね。雪の女王、また会いましょう。大人として頼るつもりはないけれど、仲間としてならあなたは信用しても良さそうだから」

雪の女王「ああ、仲間としてなら手助けはしてやろう。赤鬼、赤ずきんをよろしく頼むよ、なにしろまだ彼女は子供だから」クスクス

赤鬼「おう!雪の女王も達者でな」

赤ずきん「あなたは最後まで私を子供扱いして…いいわ、それじゃあこうしましょう」ガシッ

赤鬼「お、おい!それコーヒーだろ?お前苦いの苦手じゃ…」

ゴクゴクゴクッ カタンッ

雪の女王「へぇ…」

赤ずきん「ごちそうさま、雪の女王。これで少しは私が子供じゃないって納得できたかしら?」

雪の女王「フフッ、ほんの少しだけ納得したことにしておいてやろう。だがまだまだ足らないぞ?私はキミが大人になるのを楽しみにしておくよ」クスクス

赤ずきん「ええ、大いに期待しておきなさい。それじゃあね、雪の女王」

・・・

65: オプ速さん 2015/02/18(水)22:41:05 ID:QIE
店員「ありがとうございましたー!」

・・・

赤鬼「しかし、一時はどうなることかと思ったな」

赤ずきん「……」

赤鬼「だがなんとか旅は続けられる。雪の女王っていう頼れる味方も増えたんだ、結果的にはいい方向に転がったって事だな」

赤鬼「だがあれだけ大見得切っちまったからな、お互い頑張らないといけないぞこれまで以上にな」

赤ずきん「……」

赤鬼「じゃあまずは裸王の所に謁見に行くかー」

赤ずきん「ねぇ…赤鬼、雪の女王には内緒で…あなたにお願いしたいのだけど」

赤鬼「…どうした?」

赤ずきん「水をどこかで買ってきてくれないかしら…」

赤鬼「ん?」

赤ずきん「口の中と喉の奥が苦くて…耐えられそうにないのよ…」ボソッ

赤鬼「ああ、なるほどな…あんな見栄張るからだぞ。待ってろ、買ってきてやるから」ハッハッハ

赤ずきん「…お願いね、赤鬼」ケホケホ

・・・