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引用元: http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1401402344/

1: 名無しさん 2014/05/30(金)07:25:44 ID:ohMtTjmFS
書き溜めしてるのでとりあえず貼ってく。気持ちの整理的なものなので暇潰しにでも読んでもらえたら嬉しいです。

確か、小学3年か4年だったと思う。
その頃俺は小さな空手道場に通っていた。
その夏、道場の主催でキャンプをすることになり、当時大親友だったAも参加するので俺も当然参加した。
もちろん、参加者の保護者もついてくることになる。

合宿ではなく遊びのキャンプ。参加もおそらく強制ではなかったのだろう。参加した門下生のほとんどが小学生だった。
3: 名無しさん 2014/05/30(金)07:26:41 ID:ohMtTjmFS
一泊二日のキャンプで、仲良くカレーを作って、小さなキャンプファイヤーや花火を楽しんだ後、肝試しをすることになった。

キャンプ場は山にあって、ハイキングコースではないけど、階段などで整備された遊歩道があった。
昼間に歩けば15分程度の道だと思う。
そこをただ通るだけの簡単なルールだけど、保護者がスタート地点で怪談話を聞かせてから出発し、途中では保護者、主に父親達の気合の入ったイタズラを受けるハメになる。

当時仲の良かったAと、誰か忘れてしまったがもう1人bとの、計3人で一緒に行こうと言って順番を待っていた。
前のグループに対する怪談話が終わり、階段を上って行く3人を見送るとついに俺達の順番だ。

4: 名無しさん 2014/05/30(金)07:27:39 ID:ohMtTjmFS
ビビりだった俺は怪談話を聞かないように、ぼんやりと階段の先を眺めていた。
その時だ。階段の先、おそらく最初の分岐点あたりをキラキラと光る、人が3人、左から右へ歩いていった。
俺はあまりに驚いて声が出なかった。えっ!!と声を上げたのはAともう1人だ。
俺が今の見た?と聞くと、見たと答える2人。
怪談話をしていた保護者のcさんはどうしたのかと訪ねるので、見たままを答えた。
きっと光が反射したんだよと大人が言うので、そうなのかと納得はしたものの、俺はまるで液晶にでも写したかのように色鮮やかに光った人影の行方を気にしていた。

5: 名無しさん 2014/05/30(金)07:28:24 ID:ohMtTjmFS
いつの間にか怪談話も終わり、俺達はcさんと次のグループに見送られて階段を上った。

頼りない懐中電灯の灯りで足下を確かめながら、ゆっくりと階段を上がる途中、俺はさっきのはなんだろうかと呟いた。Aとbはきっと光が反射したんだと、cさんと同じことを言う。だから俺も、やっぱりそうなのかと思い込むことにはした。

階段を上りきると、そこには保護者が2人たっていた。暗闇の中にただ立っていただけだが、俺達の持つ懐中電灯に照らされて保護者の足だけが見えた時はドキッとしたが、それ以上の仕掛けはないようだった。

6: 名無しさん 2014/05/30(金)07:29:17 ID:ohMtTjmFS
びっくりしたーと言いながらも安心していたのを覚えている。
泣いたらダメよーなんて言われながら、3人揃って右に進路を取ろうとした時保護者2人は声を揃えて、そっちじゃないよ!と言った。
俺達もえっ!?と声を揃えた。

俺達はcさんの言葉を信じて、前のグループの3人に光が反射したのだと思っていた。そう話し合ったわけではないが、そうとしか納得のしようがなかった。
当然、さっきの光る人影が進んだ方向が、階段の先の進路だとも勝手に思い込んでいた。

7: 名無しさん 2014/05/30(金)07:30:01 ID:ohMtTjmFS
Aははっきりと人の形をした光が右へ歩くのを見たと訴えた。
俺も光が進んだ方向を懐中電灯で照らしながらこっちへ行ったよと言いかけた。
3人揃って、恐怖に絶句する。
右側には大人1人が座れる程度のスペースにカバンと消灯されたランタンがあるだけで、道なんてなかった。
その後、保護者たちがどんな手段で脅かしてきたかはほとんど覚えていない。
可能な限りの早足でゴールまで進み、どうだったかと聞かれても怖かったとだけ答えた。

残るグループのゴールを待つ間、この事は3人の秘密にしようと話していた。

8: 名無しさん 2014/05/30(金)07:30:39 ID:ohMtTjmFS
ふとAがポケットから飴を取り出した。見たことのない真っ白な包装だった。
俺も何気になくズボンのポケットを触ると何かが入っている感触がした。
そしてもちろんbにも。
きっと保護者の誰かがこっそり入れたんだと話しながら、3人揃って飴を口に運ぶ。俺だけレモン味だった、bがレモンの方がいいと言うので、お互い口を付けた後だったが気にせず交換した。
レモンの味が強くて、交換した飴の味はよくわからなかった。

9: 名無しさん 2014/05/30(金)07:31:41 ID:ohMtTjmFS
不思議だったことは、俺達以外にその飴を貰ったやつはいなかったことと、その包装紙を3人ともすぐになくしていたこと。

20年近く経った今でもこのことははっきりと覚えている。
Aとも、俺が全寮制の高校に入るまで仲良く遊んでいた。

そして、この出来事から約10年。成人式。
高校の友達と集まってその後の飲み会の話をしていた時、遠くから名前を呼ばれて振り返る。中学時代の友達数人が手を振ってくれた。

10: 名無しさん 2014/05/30(金)07:32:17 ID:ohMtTjmFS
何人か見知らぬ顔もいて、そいつらは手を振ることはなかったが、そいつらの中にはAもいた。睨んでいるとかではなく、明らかにあいつ誰って顔をしていた。
中学卒業から5年、忘れられるには早くないか?って疑問と、怒りを抱きながらも、その後声をかけるタイミングもなく式場を後にした。

11: 名無しさん 2014/05/30(金)07:33:02 ID:ohMtTjmFS
それからさらに5年ほど経ったある日。
俺は実家に用があったので2年振りに地元へ帰った。
実家の近くのコンビニにタバコを買おうと立ち寄った時、コンビニ前にたむろしてるDQNに声をかけられた。と、思ったら中学時代の友達だった。
その中にはAもいたが、なんとなく話す気にはなれずにいた。
成人式の時のことはあえて口にしなかったが、同窓会行けなくてごめんとか他の連中と話していた。

13: 名無しさん 2014/05/30(金)07:33:53 ID:ohMtTjmFS
しばらく黙っていたAが、こいつ誰と俺を指差して言った。
他の連中は、お前ら仲良かっただろとか、なんでお前が忘れるんだよと言うし、もちろん俺も同じ気持ちだった。
その時、コンビニから出て来た見知らぬ男が何食わぬ顔で俺達の輪に加わり、やはり俺を指差して誰こいつと言ってくる。
思わず俺も、お前が誰だよと言い返すと、一気に場の空気が凍る。
お前らマジか?冗談やめろよ、そんな言葉が次々聞こえる。

14: 名無しさん 2014/05/30(金)07:34:32 ID:ohMtTjmFS
俺は買ったばかりのタバコを開けて、一服ついてから切り出した。

Aとは小学校の空手道場から中学の野球部までずっと一緒に遊んで過ごした。本当に俺のこと忘れたのか?

そんな風に俺が話すと、誰かが言う。

いや、ほんと、お前ら3人でいつも遊んでたろ?道場の肝試しだって3人で行って、宇宙人見たんだろ?
中学の時だって3人とも野球部の主力だったじゃないか。

その言葉に俺も、Aも、知らない誰かも驚く。
おそらく3人が、思い出せない誰かを認識していた。
でも、その誰かのことは、名前を聞いても、仲の良かったエピソードを聞いても、どうしても思い出せない。
そしてやはり、Aと見知らぬ男も、俺のことを思い出してはくれなかった。

15: 名無しさん 2014/05/30(金)07:35:24 ID:ohMtTjmFS
結局、その場の全員が納得いかない顔をしながら、俺は実家に帰るからと踵を返した。
車に乗り込もうとした時、見知らぬ男が俺に尋ねた。
あの時の飴の味覚えてるか?

俺は答えた。
俺だけレモンだったよ。



見知らぬ男は言う。
俺達は、リンゴだった。

少しの沈黙の後に、俺はそれじゃと言ってコンビニを後にした。

16: 名無しさん 2014/05/30(金)07:36:36 ID:ohMtTjmFS
その2日後に俺は地元をあとにしたが、その際にも同じコンビニに立寄り、コーヒーを買った。レジにいたのは中学の友達だった。

お前、本当に覚えてないの?と、手慣れた手つきで会計をしながら友達は言う。
財布から小銭を出しながら、全くと俺は答える。

袋いるか?と聞くような仕草をされたが、すっと手を伸ばしてコーヒーを受け取る。

タバコ吸おうぜ、と友達が誘う。

灰皿の前で、紫煙を吐き出しながらそいつが言う。
飴の話だけどさ、お前が仲間外れが嫌だって騒いだらしいじゃんか。

それは違うと、俺はタバコをくわえたまま答える。

17: 名無しさん 2014/05/30(金)07:37:33 ID:ohMtTjmFS
あいつがレモン味がいいって言ったから取り替えたんだよ。
この時点で、肝試しの時のbは2日前の見知らぬあいつなんだと認識はしている。
俺の飴に関する記憶を話すと、友達は今ひとつ合点がいかない顔をする。

Aとあいつが言うには、俺だけ味が違うのは嫌なんだと、今にも泣き出しそうに騒いだらしい。
どこかで俺の都合がいいように、記憶の改ざんをしていたのだろうか。そう考えるのも自然だが、その記憶になんの不都合もないじゃないか。くわえタバコのまま、自問自答をしていた。

また盆にでも帰るよと言い、俺は車に乗り込んだ。
盆に帰ってきたところで、なんの進展もないだろうと思いながら、車で10時間の家路を辿った。

18: 名無しさん 2014/05/30(金)07:38:39 ID:ohMtTjmFS
やはりなんの進展もないまま、さらに4年間が経った、つい1年前の話だ。
地元に住む中学時代の恩師、野球部の監督をしていた先生の訃報を受けた。
かつては俺達と同じユニフォームを着たその人との別れの席で、奥さんが1枚の写真を見せてくれた。

監督と、俺と、Aと、あいつ。
幼さの残る顔つきの3人は、確かに仲が良かったんだろう。
肩を抱きあい、満面の笑顔をカメラにむけていた。

それでもあいつとの思い出が見つからないのは、あの不思議な体験が原因なのかもしれない。

しかし、もっとも不思議なのは、
俺とAの、Aとあいつの、1人かけたままの昔話をすると、3人の思い出話になったりする。

あれは幽霊なのか宇宙人なのか、気のせいだったのかもしれない。
でも、3人が揃って1人ずつ忘れてしまうのは説明のつかない不思議な体験だ。

この不思議な体験を解明するつもりはないが、ある程度納得できた。
オチは弱いかもしれないけれど、監督の一回忌が終わって、今は3人で仲良くできてるので、なんとなく書いてみた。

19: 名無しさん 2014/05/30(金)07:41:47 ID:bo6zRqlqr
洒落怖でありがちな下手くそな創作だな

20: 名無しさん 2014/05/30(金)07:43:02 ID:ohMtTjmFS
>>19
下手くそなのは認めます。

21: 名無しさん 2014/05/30(金)12:08:14 ID:lSCNskFl0
いいと思います

22: 名無しさん 2014/05/30(金)12:54:30 ID:ohMtTjmFS
>>21
うお、見てくれたのか。
ありがとう( ´ ▽ ` )ノ